←前  最新記事  次→

俳句や川柳が「575」ではないという持論

突然ですが、俳句や川柳に関するお話です。

これらは、昔から日本人にとても親しみの深い形式なわけですが、個人的にはなぜ「五・七・五」なんだろう?と、子供のころからいつも不思議に思っていました。

普段は一応、「五七五」のつもりで俳句や川柳を詠んだり聴いたりしているわけですが、実は、そうでないことに気付いている人も少なくないのではないでしょうか。

遠い昔の和歌の時代から、ずっと日本の短詩型文芸として浸透してきた形態なので、日本人として「五・七・五」という文化を受け継いでいこうという気持ちは大切です。
また、小学校以来、俳句や川柳は「五七五の17音で構成されるもの」と教え込まれたので、学歴社会を生き抜くためには試験でそう答えることが賢明です。

したがって、疑問に感じながらも、試験での点数が悪くなることを恐れ、あるいは変人扱いされることを恐れて、ずっと胸の奥にしまいこんでいる人が多いはず。
ならば、多くの日本人の方々のモヤモヤを、私が代表してこのブログで解消してしまいましょう。

松尾芭蕉の有名な俳句を見てみましょう。

「ふるいけや」
「かわずとびこむ」
「みずのおと」

確かに、五+七+五で構成されているように見えますね。
ひらがなで書いた場合の字数は五文字+七文字+五文字ですが、でも、これを詠んだり聴いたりするとき、人はひらがなの数を感じ取っているわけではありません。

では、何を感じ取っているでしょうか。
試しに、お寺の木魚で「ポンポン」と拍子を取りながら、そのリズムに合わせて歌ってみてください。
木魚をお持ちでないかたは、メトロノームの「カチカチ」でも大丈夫です。
どちらもお持ちでないかたは、手拍子で全然OKです。
スピードとしては、モデラートくらいでしょうか。

<記号>
☆:木魚たたく
-:木魚お休み
※:8分休符

<譜面>
木魚=☆-☆-☆-☆-
小節=ふるいけや※※※
小節=※かわずとびこむ
小節=みずのおと※※※

ご覧の通り、見事な「4拍子のリズム」を奏でているのです。
なお、説明の便宜上、すべて8分音符で表現しています。

もう少し詳しく見てみましょう。

まずは第1小節。
「ふるいけや」のうち、「ふ」と「い」と「や」のタイミングで木魚が鳴っていることがわかります。
また、最後に8分休符が3つ並んでいることからわかるように、ほどよい間(ま)を置いていることがわかります。

続く第2小節。
なんと、いきなり先頭に8分休符があるではないですか!
音楽用語で言うところの「弱起」とか「オフビート」などと呼ばれる形態ですね。
一瞬、木魚を聞いて、「ん・かわずとびこむ」となります。

そして第3小節。
第2小節の余韻に浸るかと思いきや、休むことなくすぐに始まります。
しかも、再び「オンビート」に戻って第1小節と同じように休符で終わります。
この3つの休符が、木魚の音とともに絶妙な余韻をもたらします。

以上、私が分析した限り、俳句や川柳は、8分音符×8拍×3小節で構成される究極のリズム譜なのです。
A→B→Aというソナタ形式を採用し、さらにオフビート(裏ウチ)のテクニックも使った、心にくい構成です。

私が、子供ながらに感じていた、このリズム感。
誰にも打ち明けることのできなかった長年のモヤモヤ。

少しはご理解いただけたら幸いです。